月末になると請求書の作成・確認・送付に丸1日かかる——そういった話は珍しくありません。取引先が10社を超えたあたりから、Excelでの請求書管理は少しずつ限界を迎えます。

この記事では、Excelでの請求書発行からクラウドツールへ移行することで月8時間の作業を削減できた実例をもとに、移行の具体的な手順とツール選びのポイントを整理します。


Excelでの請求書管理、何が問題か

Excelで請求書を管理していると、以下のような問題が積み重なります。

作成ミスが起きやすい:金額・日付・取引先名を毎回手入力するため、コピーミスや入力漏れが発生します。送付後に誤りが発覚し、再送する手間もコストも無駄です。

ステータス管理が追いにくい:「この請求書、送った?」「先方から入金あった?」という確認が、メールや口頭でのやり取りになります。複数の担当者が関わると、さらに把握しにくくなります。

インボイス対応・電子帳簿保存法への対応が手間:法改正への対応をExcelで行うのは限界があります。クラウドツールであれば、アップデートで自動対応されるケースがほとんどです。


月8時間削減の内訳

実際にExcelからクラウドツール(今回はfreee請求書)へ移行した会社の事例で、削減できた工数の内訳はこちらです。

請求書の作成時間:月60分の削減。取引先情報・品目・単価が登録されており、選択するだけで請求書が完成するようになった。

確認・修正作業:月90分の削減。入力ミスが減り、上長確認の往復が不要になった。

送付作業:月60分の削減。PDF変換・メール添付が不要になり、ツール上からワンクリックで送付できるようになった。

入金確認・消込:月120分の削減。銀行口座と連携することで、入金確認と消込作業が半自動化された。

合計:月約330分(約5.5時間)の直接削減。加えて、確認連絡のやり取りや修正対応の時間を含めると月8時間程度の削減になった。


移行の手順

ステップ① ツールを選ぶ

請求書発行に使えるクラウドツールは複数あります。主要なものの比較です。

freee請求書:直感的なUIで使いやすく、freee会計との連携がスムーズです。個人事業主・小規模法人に向いています。月額980円〜。

マネーフォワード クラウド請求書:機能が豊富で、会計・経費・給与など他のマネーフォワードサービスとの連携が強みです。成長フェーズの会社に向いています。月額2,980円〜。

MisocaはCyberAgentグループのツールで、弥生会計との連携が特徴です。シンプルな機能で使いやすく、月5通まで無料で使えます。

選び方のポイントは、会計ツールとの連携です。すでに使っている会計ツールと連携できるものを選ぶと、入金確認・消込の自動化効果が最大になります。

ステップ② 取引先・品目のマスタを登録する

移行作業の大半はこのステップです。既存のExcelから取引先情報(会社名・住所・振込先など)と品目(商品名・単価)をツールに登録します。

取引先が多い場合はCSVインポートを使うと作業時間を短縮できます。主要なツールはCSVでの一括登録に対応しています。

ステップ③ テスト請求書を作って確認する

実際の取引先に送る前に、テストデータで請求書を作成・確認します。フォーマット・記載内容・送付方法が問題ないことを確認してから本番運用に移ります。

ステップ④ 並行運用期間を設ける

いきなり全件をクラウドツールに移行するのではなく、1〜2ヶ月は新規の請求書だけクラウドツールで作成し、既存のものはExcelで継続する「並行運用」をすすめます。トラブルが起きたときのリスクを最小化できます。


移行時によくある失敗

失敗① マスタ登録を後回しにする

「まず試してみてから登録しよう」と思うと、都度手入力が発生して「Excelの方が早かった」という評価になります。最初にマスタを整備することが、移行成功の鍵です。

失敗② 会計ツールとの連携を考えずに選ぶ

請求書ツールと会計ツールが別会社のサービスで連携できない場合、入金確認・消込の作業は手動のままになります。自動化の恩恵を最大限受けるには、連携を前提にツールを選ぶことが重要です。

失敗③ 社内の承認フローを整備せずに移行する

請求書の確認・承認のフローが口頭やメールで行われていた会社では、ツール移行後も同じ運用を続けてしまうことがあります。ツール上で承認フローを設定することで、確認作業がすべてツール内で完結します。


まとめ:請求書の自動化は最も費用対効果が出やすいDXの一つ

請求書発行の自動化は、初期投資が少なく、効果が数字で見えやすいDXの入り口として最適です。月数千円のコストで、月数時間の作業削減が実現できます。

「自社の請求書フローをどう改善すればいいか相談したい」「ツール選びを手伝ってほしい」という場合は、30分の無料相談でご状況を聞かせてください。現在の業務フローを聞きながら、最適な移行方法を一緒に考えます。