「プログラミングなしで業務を自動化したい」——そう思ったときに候補に上がるのがMake・Zapier・Power Automateの3つです。いずれもコードを書かずにツール同士を連携させて業務を自動化できますが、特徴が異なります。

この記事では、3つのツールを比較軸で整理し、自社に合ったツールの選び方を解説します。


ノーコード自動化ツールとは何か

ノーコード自動化ツールとは、異なるサービス同士を連携させて、繰り返し発生する作業を自動化するツールです。

たとえば「Googleフォームに回答があったら、内容をNotionに自動で追加して、Slackに通知を送る」という一連の流れを、プログラミングなしで設定できます。

こうした自動化を「ワークフロー」または「シナリオ」と呼び、トリガー(起点となる出来事)とアクション(実行する処理)を組み合わせて作ります。


3つのツールの基本的な位置づけ

Zapierは2011年に登場した自動化ツールの先駆けです。対応するアプリ数が7,000以上と最多で、UIがシンプルで使いやすいことから、ノーコード自動化の入門ツールとして広く使われています。

MakeはもともとIntegromatという名前で提供されていたツールで、2022年にMakeに改名されました。視覚的なフロー図でワークフローを設計できるのが特徴で、複雑な条件分岐や繰り返し処理もノーコードで実現できます。Zapierより高度な自動化が可能です。

Power AutomateはMicrosoftが提供する自動化ツールです。Microsoft 365(Word・Excel・Teams・Outlook・SharePoint)との親和性が高く、Microsoftの製品を中心に業務を回している会社に向いています。


比較軸① 使いやすさ

ノーコードツールを初めて使う場合、最初の設定でつまずくと定着しません。使いやすさの観点での比較です。

Zapierは3つの中で最もシンプルなUIです。トリガーとアクションを順番に選んでいくだけで自動化が完成します。プログラミングの知識がまったくない担当者でも、初日から設定できるレベルです。

Makeはフロー図形式でワークフローを設計します。視覚的にわかりやすい反面、最初の学習コストはZapierより高めです。できることが多い分、設定の自由度も高く、慣れるまでに少し時間がかかります。

Power AutomateはMicrosoft製品のUIに慣れている場合はとっつきやすいですが、そうでない場合はやや複雑に感じやすいです。ExcelやSharePointとの連携が多い業務では、他の2つより直感的に使えます。


比較軸② 対応アプリ数と連携の広さ

Zapier:7,000以上のアプリと連携可能。対応アプリ数は3つの中で最多です。マイナーなSaaSツールでもZapierに対応しているケースが多く、「使いたいツールが連携できない」という状況になりにくいです。

Make:1,000以上のアプリと連携可能。主要なSaaSツールはほぼカバーしています。対応数はZapierに劣りますが、HTTPリクエストを使えば対応していないツールとも連携できる柔軟性があります。

Power Automate:900以上のコネクタに対応。Microsoft製品との連携は3つの中で最も強力です。一方、Microsoft以外のツールとの連携はZapierやMakeに劣る場合があります。


比較軸③ コスト

Zapier:無料プランは月100タスクまで。Starterプランは月約2,800円で750タスクまで。タスク数が増えるほど料金が上がる従量課金に近い仕組みです。自動化の件数が多くなると費用が高くなりやすいです。

Make:無料プランは月1,000オペレーション(処理回数)まで。Coreプランは月約1,200円で10,000オペレーションまで。Zapierと比べてコストパフォーマンスが高く、同じ処理量でも安く済むケースが多いです。

Power Automate:Microsoft 365のライセンスに含まれているプランがあります。Microsoft 365 Business StandardまたはPremiumのライセンスをすでに持っている場合、基本的な自動化は追加費用なしで使えます。高度な機能を使う場合は月約1,500円〜の有料プランが必要です。


比較軸④ 複雑な自動化への対応

単純な「AをしたらBをする」という自動化であれば3つのどれでも対応できます。違いが出るのは複雑な処理です。

条件分岐(もしAならB、そうでなければC)やループ処理(リストの各項目に対して同じ処理を繰り返す)が必要な場合、Makeが最も柔軟に対応できます。Zapierも条件分岐には対応していますが、複雑なシナリオになるとMakeの方が設計しやすいです。

Power AutomateはExcelやSharePointのデータを使った複雑な処理が得意です。Microsoft製品内での高度な自動化はPower Automateが最も適しています。


用途・環境別のおすすめ

ノーコードツールを初めて使う・とにかく簡単に始めたい→ Zapier。シンプルな連携を素早く設定できます。

コストを抑えながら高度な自動化をしたい→ Make。月額費用が低く、複雑なワークフローにも対応できます。

Microsoft 365を中心に業務を回している→ Power Automate。追加費用なしで使えるケースが多く、Officeツールとの連携が最も強力です。

Google Workspaceを使っていてシンプルな自動化をしたい→ Zapier。Google系ツールとの連携が豊富です。

複数のツールを複雑に連携させたい・エンジニアがいる→ Make。カスタマイズの自由度が高く、高度なシナリオを設計できます。


ノーコードツールで自動化できる業務の具体例

導入後すぐに試せる自動化の例を挙げます。

問い合わせ管理:Googleフォームへの回答→Notionに自動登録→Slackに通知。手入力と確認連絡がゼロになります。

SNS投稿管理:RSSフィードの新着記事→TwitterやLinkedInに自動投稿。コンテンツ配信の手間が減ります。

リード管理:問い合わせフォームの送信→HubSpotやSalesforceに自動登録→担当者にメール通知。営業の初動が速くなります。

社内申請フロー:Googleフォームでの申請→スプレッドシートに記録→承認者にメール通知→承認後に申請者に結果を通知。紙やメールでの申請フローを完全デジタル化できます。

定期レポート:毎週月曜日にGoogleアナリティクスのデータを取得→スプレッドシートに記録→Slackに要約を投稿。手作業でのレポート作成が不要になります。


まとめ:迷ったらZapierで始めて、必要に応じて移行する

3つのツールの選び方をひと言でまとめると、迷ったらZapierで始めるのが無難です。シンプルで使いやすく、対応アプリ数も最多なため、最初の自動化体験として最適です。

自動化に慣れてきて「もっと複雑なことをしたい」「コストを下げたい」と感じたタイミングでMakeへの移行を検討する。Microsoft 365が社内の中心ツールであれば最初からPower Automateを選ぶ。この順番で考えると、選択肢を間違えにくいです。

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